また髪が伸びてきた。
あのひとに会う日から逆算して髪を切る。
前髪はひどいくせっ毛だから、切るときは絶妙なバランスが必要になる。
「ここまで伸びると変」「こんなに短いとなおおかしい」
つむじに負けないくらいの堂々巡り。
決められた道などないのに横断歩道まで駆けてく滑稽さよ。
「細工のない目はきらい」「浅い話はつまらない」「あの文章は目がかゆくなる」
ある安全な型にはまったひとたちへの羨望と疎外感。
「あのひと」たちは大丈夫なんだろう。
マイナス自慢辞典を引きずるぼくは、上から下から圧迫感がよせてくる。
支配してると思ったものは永遠に頭上にてぼくを見下ろす。
硬い髪がまた伸びてきた。

(文責 9条ラブットくん☆)