傷ついたオレンジ達がドレスを脱ぎ捨てる
サッカーのヨーロッパ選手権が始まりました。4年経つのは早いですね。前回大会は就職した年にやってたんだっけ。
普段から眠れない日々を過ごしているので、今は寝ないでサッカーを観る日々です。その代わり酒が呑めない…。
この大会はワールドカップと違って参加する全ての国に優勝のチャンスがあります。
つまり、常に波乱の起こる大会なんですが、早速波乱が起きています。
オランダがイタリアに勝ってしまった!
この試合は両チームの歴史上、大変意味のあるものになるでしょう。つまり、「オランダのフットボールはイタリアのカルチョに勝てない」、という、サッカーの世界の不文律が崩壊したわけですから。
人によって見方は様々ですが、僕はそのようにこの一戦を捉えています。
この試合は両チームともベストな布陣とは言えない中で行われました。
イタリアはキャプテンで守備の要であるファビオ・カンナバーロを靱帯の負傷で失っていて、オランダもアリエン・ロッベンとライアン・バベルという二人のウィンガーを故障で欠いていました。
これまでの歴史に照らして見れば、こんな事態に陥った際の両者の対応は一つしかなかったのです。
イタリアは守備の綻びを嫌うばかりにDFを5人配して、さらに2人の守備的MFを置き、攻めはカウンターアタックという「カテナチオ」を選択する。
一方、オランダはと言えば、力の劣る選手であろうが、意地でもウィンガーを左右両サイドに置いてポゼッションとサイドアタックを追求する。
その結果として、哀れオランダ人の理想のフットボールはイタリア人達にズタズタに踏み躙られる、というのがここ30年以上の両チームの対戦の歴史だったのです。
つまり、ロマン溢れるサッカーがリアリストに一蹴される図を繰り返してきたのですが、昨日の対戦では両者は全く逆のことをしました。
イタリアはアンドレア・ピルロが両ウイングにパスを配給する戦術を選択し、オランダはウィングを配することを諦めてルート・ファンニステルローイの背後に5人のMFを置き、カウンターアタックを行うという…、夢でも見ているんじゃないか的な選択をしたのです。
オランダの5人のMFのうち、3人は全くボールを扱えない選手だったので、当然の如くイタリアが主導権を握ってゲームは進みましたが、オランダはオフサイドまがいのゴールとカウンターという、イタリア人が大好きな点の取り方で2点を奪ってしまったのです。
イタリアはセンターバックを交替させてまでサイドアタックにこだわったというのに…、何だか見ていて凄く奇妙な試合でした。
でも一つの戦術にこだわることなく、色々なやり方を各国が受け入れているというのは、ある意味ではサッカーの進歩なのかな…?
そう言えばポルトガルは大会の初日で最近流行りのゼロトップシステムをやっていました。
代表チームであれをやったのはポルトガルが最初だと思いますが、これからも続けるのかな…。
最後にありきたりですが優勝予想を書いておこう。決勝はドイツ対イタリア。スコアは延長2対1でドイツが優勝。
でもイタリアがあんなにヒドイ負け方をしたので、もしかするとフランスが決勝に…いや大穴でスペインかロシアが決勝までくるかもしれない。
(文責 sa)6月10日に入稿