何のために自衛隊を送るのか

小沢さんが主張する自衛隊ISAF参加という問題をめぐっての議論が、『お玉おばさんでもわかる 政治のお話』や『BLOG BLUES』、『編集者が見た日本と世界』など、あちこちのブログで行われていて、私もコメントをしたりしています。せっかくなので、色々読んだ上で私なりに思ったことをまとめてみようと思います。
海外での活動を考えるときに、政府はすぐ「自衛隊を」と言い出すので、私などは「いや、自衛隊を派兵すべきではない」との考えから、自衛隊を出すのか出さないのかという点に問題意識が行ってしまいます。でも、自衛隊派兵は手段であって目的ではないはずです。とすれば自衛隊派兵の是非から議論を出発するのは本末転倒だし、政府の議論の土俵に乗せられることになってしまうのではないでしょうか。
本来なら、その海外の当事国にとって、今一番必要とされる取り組みは何かという観点から出発しなければいけないと思います。そのために最も有効な手段が自衛隊なら、行ってもいいのではないでしょうか。
私の場合、自衛隊のことに問題意識が行ってしまうあまり、その当事国のことが頭から抜けてしまうことがあります。イラク戦争に反対する署名を街頭で集めていたときに「日本は北朝鮮との問題があるし、アメリカに守ってもらっているんだから、ただ守ってもらっているだけというわけにいかない(だから戦争は仕方ない)」という主張をする方と対話したことがありました。そんな自分の都合だけを主張していて恥かしくないのかと思いましたが、自衛隊のことばかりを気にして当事国のことを忘れてしまうのでは、私も同じようなものですね。
干ばつのアフガニスタンで、医者であるペシャワール会中村哲さんが井戸を掘りまくったのは、命を救うために今何が必要なのかと考えた末でのことでしょう。そういう発想は、何が何でも自衛隊を派兵したいと考えていては出てこないものだと思います。
松竹伸幸さんの、まず第一にどうやって人々の命を救うかを考えるということ、お玉おばさんの、あらゆる活動をするけど絶対に武器を持って戦地に赴かないということ、BLOG BLUESさんの、ペシャワール会が行ってきたことを国家的政策にする攻撃的護憲という主張、それぞれが私の思いにしっくり来るものでした。
これらは憲法前文と9条を実際の形にするものだと思います。

ところでリンク集に『非国民通信』を追加しました。ネット上のニュース記事に対する鋭い批判が本当に見事です。当然のようにマスコミから流される情報の多くが、本当にくだらないことを思い知らせてくれます。単純に読み物としても面白いですよ。

(文責 contack)