チャベスをもっと批判的に見ていいのでは

赤旗の記事を引用するのは初めてだなぁ。

 ベネズエラで二日、チャベス大統領が「二十一世紀の社会主義」への前進を掲げて提案した憲法改正案の賛否を問う国民投票が実施され、中間集計で反対票が小差で過半数を占めました。開票が進んでも賛否の逆転はないとされ、チャベス大統領は改憲案否決の結果を受け入れると語りました。

 全国選挙評議会の三日未明の発表によれば、開票率88%の段階で、反対は50・70%、賛成49・29%。投票率は約56%でした。賛否の票差は実数で十二万票とみられます。

ベネズエラ 改憲案を小差否決
(しんぶん赤旗 2007年12月4日)

何かと赤旗での登場シーンが多い南米ベネズエラですが、国民投票改憲案が否決されたそうです。ペガサス・ブログ版編集者が見た日本と世界などで取り上げられています。この間、チャベス派は選挙で勝ち続けていたので、今回の国民投票も賛成が上回るんだろうなぁと思っていました。この結果に、私はちょっとホッとしています。
というのも、大統領の任期延長や無期限再選を可能にするという改憲案は、明らかに政府の権力を強化する方向だと思うからです。改憲案では同時に社会主義を目指すという方向が示されていたようですが、こうなってくると社会主義=独裁というソ連・中国・北朝鮮から連綿と受け継がれているイメージがますます強くなるんじゃないかなぁという不安がありました。日本は大統領制じゃないし、ベネズエラと状況はもちろん違うので、単純に同じように考えることはできませんが、私だったら政府の権力を強化するような改憲案には反対するでしょう。
チャベス派が勝ち続けてきたのは、貧困層からの強い支持があったからと言われているので、積極的な貧困対策が多くの国民から認められてきたということだと思います。それは新自由主義路線とは正反対の方向で、日本でもそうあってほしいものです。ってまぁベネズエラについてよく知ってるわけじゃないので、断片的な情報を基にした私の想像ですけど。そういう改革を進める政府であっても、その権力を強化するという方向には敏感に反対する。それってけっこういいバランス感覚なんじゃないかなぁ。
チャベスアメリカ政府はベネズエラの反体制派を支援しているそうですが、今回の国民投票に限っては結果的にチャベス派にとっても良かったんじゃないかと思います。政府の権限が強化されれば、ますますチャベスは独裁だと批判されることになるでしょうから。
ところでウェブ赤旗の方には掲載されていないようですが、しんぶん赤旗の方には興味深いことが書かれていました。

 半数近い国民が社会主義への変革を支持したことと同時に、小差とはいえ反対派が上回ったことで、今の改革のスピードや方向を慎重に議論すべきだとの世論が根強いことが明らかになりました。

 また選挙や国民投票で国民の意思を確認しながら変革の歩みを進めるというやり方が定着していることを改めて示すものといえます。

ベネズエラ 改憲案を小差否決 解説
しんぶん赤旗2007年12月4日)

政権党だからって何でも自由にできるわけじゃない。共産党の不破議長がよく言ってる、どんな改革も国民多数の意志でやるというのは、実際にはこんな感じなんじゃないかなぁ。国民が政権を監視し、コントロールすることが大事なんだと思います。それこそが民主主義だと思うのですが、そんなの今の日本じゃ全然実現していません。もっともっと私達は民主主義的に成熟する必要があるんじゃないかな。

(文責 contack)