イビツァは踊る

1月30日にハンドボールの五輪代表国決定試合が行われました。
事前に色々と騒ぎがあって注目されていたのでテレビで見た人も多いと思います。
僕もわりとミーハーな性質なんでテレビで見てました。
あんなに激しいスポーツだとは思いませんでした。スゴかった。

とはいえ、サッカーの方も気になってたのでチラッと見たんですが、ハンドボールより驚くことが。

いたんですよ。イビツァ・オシムが。

去年脳梗塞で倒れた時には「こりゃもう死んだかな。」と思ったもんです。高齢ですしね。

それが国立競技場の貴賓席に座って、いつもと同じような表情で試合を見てるんですから…怪物じみている。
あの人は革命と動乱の時代をくぐり抜けてきただけあって、さすがにタフですね。

宮本顕治なんかも獄中でタフにたたかってましたが…なんか似てますね。あの二人は。顔つきとか体型とか。

オシムさんは旧ユーゴスラビア出身なので、記者会見の話しでレーニンの言葉を引用したり、割りとお茶目な表現をします。

とはいえ、ユーゴの代表監督時代には国連の制裁措置の影響で、ヨーロッパ選手権の出場権を剥奪されたりと、大変な経験もしてきてます。(この92年ヨーロッパ選手権はユーゴの替わりに急遽出場が決まったデンマークが初優勝するという衝撃的な大会だった。) もちろん、隣人同士が殺し合うという凄惨な戦争も経験しています。

それでも彼がユーモアを失わずに、あの年齢になってもナショナルチームの監督をやったり、早々と病気を治したりできるのは世界と人生を見通す展望があるからなんでしょう。

彼の言葉の端々には「人生には色々起こりますが、みなさんもっと人生を楽しみましょう。」というニュアンスが至るところに含まれてます。

我々も「科学の目」という考え方で色んなことを勉強しますが、彼に倣ってユーモアだけは忘れないようにしたいですね。

世界を自由に泳ぎ回るイビツァを見てそんなことを考えてました。

(文責 sa)